2015年9月26日土曜日

Chromebookが想像以上に具合が良かった件

こんにちは。dragonerです。

普段、ガジェットなりの話はブログに書かないけど、今回は感動が大きかったので、布教してもっと便利なの広がれとキーボード叩いてます。

Twitterを見た方はご存知と思いますが、ノートPCとしてChromebookを買いました。




買ったのはASUS製の11インチのChromebook C200MAです。上のAmazonリンクは13インチのC300MAですが、何故かAmazonでは日本正規品と明記してるのがC300しかなかったのでC300を貼ってます。新品は2万円中盤から3万円くらいの価格で手に入りますが、私はASUS Shopでアウトレット品を1万9,800円で手に入れることができました。9月26日現在、ASUSshopではアウトレット・新品問わず品切れしているようなので、安く狙いたい方はちょこちょこ確認するといいかもしれません。(9/29追記:アウトレットに在庫入ってます)

Chromebookを買うに至った経緯

これまで使っていたノートPCはMacBook Pro(非Retina)の13インチで、性能的には満足しているものの2kgの重量で、持ち歩くには少々重い。出先で気軽に使えるノートPCがやっぱり欲しいなあと思い、第一候補としてMacBook Airが来るんですが、どうも踏み切れない。昨年は艦これプレイするのに、Windows8.1タブレットが便利かな?と思って買ってみたのですが、どうもパフォーマンス的にしっくり来なかったので、早々に手放しました。




そんな中、TwitterでChromebook良いという感想が伝え漏れてきました。自分はこの時まで、Googleが開発しているクラウド特化型のOSというくらいにしか認識しておらず、実際に使ってからもAndroidベースだと誤解していたのですが(LinuxベースだがAndroidとは違う系統)、そんなネットワークに繋がらないと使えないノートPCってどうなの?的にしか思っていませんでした。

ところが実際に使いだした人の評判もよく、テキスト書く人間にとって求められているものがほとんど揃っているとも聞いたので、まあ値段も安いし買ってみた次第です。自分としては、出先で気軽にブログを書けて、写真も撮って出しのJPEGをトリミング加工出来る安ノートならそれでいいやという割り切りで。どうせ2万くらいだし。

ところがChromebook、想像以上にすごかった。


初期設定が楽

新しいPCやスマホが来ると、しばらくは初期設定に時間を取られる。PCにはソフトを使うインストールしなければいけないし、スマホもバックアップから前の設定を引き継ぐ場合は復元に時間がかかる。

ところが、Chromebookはその手間が無い。起動させてから自宅のWi-Fiを設定して、自分のGoogleアカウントにログインするだけ。あとは何もする必要がないし、そもそも出来ない。ブラウザのChrome上でWebアプリケーションを使うしか出来ない端末だから、設定出来る項目なんてごくわずかしかなく、時間を取られようがなかった。普段、PCでChromeをブラウザとして利用していれば、そのChromeと同じアドオンが自動でインストールされるので操作感も変わらない。パスワードも同期させてあるので、各種Webサービスにシームレスに入れる。ああ楽。

でも、導入だけでは終わらない。

スマホの真逆を行く思想

Chromebookを使っていて面白いと思ったのは、一見PCとスマホの間にあるようなセグメントのように見せかけておいて、実はスマホとは全く逆のアプローチを取っていることだ。

今現在、ネットワークトラフィックの相当量がモバイルに置き換わりつつある。そのモバイルの尖兵たるスマホユーザーは、SafariやChromeといったWebブラウザではなく、アプリを利用してネットにアクセスする傾向が強い。昨年はこんな記事があった。

オープンな Web は危機に瀕しており、その原因はモバイルアプリにある。これは、シリコンバレーの IT 業界関係者の間で共通した見解となりつつある。

その引き金となったのは、モバイル解析ベンダー Flurry による最新のレポートだった。同レポートは、スマートフォンユーザーはその利用時間の86%をアプリに費やしていることを明らかにしている。これに対し、Web 利用に費やす時間はわずか14%に留まっていた。


記事にもあるとおり、インターネットのほとんどの場所に行けるWebブラウザから、一企業が提供する限られたサービスにしかアクセス出来ないアプリへと向かうこの潮流は、スマホや今後普及が進むであろうウェアラブルデバイスによって、さらに加速する。そうなると、Webブラウザの未来は暗い。ところがChromebookは、そんな逆風をものともせず、「ブラウザしか使えない」という真逆の思想だ。

これを書いている現在、標準的なChromebook端末はCPUこそx86系のCeleron N2830だが、あとは16GBのストレージと2GBのRAMと貧弱だ。iPhoneも6以降は64GBモデルが多く出ているし、Android機では3GB以上のRAM搭載機も珍しくない。スマホ以下のスペックのノートPCに価値あるのか? という疑問が湧くのは自然だし、自分もそう思っていた。

ところがあった。

まず、パフォーマンス。余計なものを削ぎ取っているOSのためか、驚くほど軽快に動く。自分のMacBook ProでYou Tubeを全画面で見たなら、ファンが大きな音を立てて回るところだが、Chromebookはまるで音がしない。低発熱のCPUを採用していることもあるだろうが、いろいろ負荷をかけても静かなままだった。それでいて動作にストレスを感じさせない。こんなに軽快に動かれると、同様に2GBのRAMのWin8タブレットの動作が不満だったことを思うと、肥大化したPCのOSについて考えさせられてしまう。

今やレガシーと化しつつあるflashもバリバリ動く。当初はAndroid系のOSだと誤解していたので、艦これが動いた時には驚かされた。艦これもMacbookでプレイするとファンが音を立てて回るが、こちらは全く静かなままだった。しかも、自分のCore i7搭載PCと遜色ない速度で動いてくれる。Win8タブはここらへんモッサリした動作だった。

艦これも動きます(©2015 DMM.com POWERCHORD STUDIO / C2 / KADOKAWA)

そして、ハードウェアキーボードの有無。これは文章を書く人間にとっては重要だ(少なくとも自分みたいなフリック入力出来ない人間には)。もっとも、これはノートPCなら当たり前の話だが……。

また、ノートPCには必ずと言っていいほど、セキュリティソフトを入れる必要がある。毎年のライセンス費がそこそこの出費になるが、Chromebookではセキュリティのライセンス費に悩むことは無い。そもそもソフトがインストール出来ないし、悪意のあるサイトを踏んでも、サンドボックスにより該当タブ以外への影響は抑えられるので、タブを閉じれば済むという理屈らしい。OS自身にもセキュリティ機構が備わっているそうなので、気をつけるのはChromeの拡張機能で、悪意あるものをユーザー自身が入れないことくらいだろう。

実用性あるの?

冒頭にも書いたが、こんなネットワークに繋がってないとなにも出来ない端末に意味あるの?と思っていたが、使っていて気付かされた。そもそも、どんなPCやスマホであっても、今時ネットワークに繋がってない環境で出来ることなんて大差無かったのだ。だって、3G,4GにもWi-Fiにもつながらないスマホ、欲しい?

自分みたいに文書書いて、たまに写真乗っける程度の人間にとっては、これで十分成果は出せるのだ。なによりも並のノートPCより軽快に動く。これで公称11時間バッテリーもつなら上等な部類だ。なにより安い。

たいていの人にとっては、Googleや各種Webメール、Office、Dropbox、Evernote、LINEやSkypeといったメジャーなWebサービスがPCの用途の大半だろう(Officeはインストールしてる人が大半だろうけど)。だったら、ブラウザだけ動けばいいじゃん、という発想は実にまっとうな回答だと思う。

不満はある。ログインでGoogleアカウントのパスワードを入力しなければならず、難解で長いパスワードを設定してある自分にとっては、ログインのたびにそれを要求されるのは辛いので、AndroidやWindowsのようなPINロック等の別方法に対応してくれると嬉しい。また、OSがまだ発展途上なのか、これを執筆中に1回クラッシュしたが、全てクラウド上の作業なので、実損害は15秒ほどの時間だけで済んだ。それ以外は、IPS液晶でないので視野角が狭いとか、タッチパッドがたまにおかしい反応示すとか、そういうハードウェアベンダーに由来するもので、Chromebookそのものへの不満ではなかった。

とにもかくにも、2万円でこれだけのモバイル環境が手に入れられるのは満足感が高かった。Web上の各情報に滞り無くアクセス出来て、それをストレス無くタイプ出来る端末というのは、テキストを書く人間にとっては理想に近いのではないかと思います。

Chromebookが流行って、自分の周囲だけがガラパゴス化して取り残されないように、出来るだけ多くの人を引き込むことが出来れば幸いです(これが本心)。



【関連】

Amazon Chromebookストア

AmazonではChromebookストアを開設して各メーカーのものを揃えています。レビューを参考にどうぞ。

ASUS Shop

個人的にはバッテリー持続時間と価格からASUSを選びました。今、品切れのようなので、頻繁にチェックするのをおすすめします…。(9/29に確認したらアウトレット入ってました。新品は無いのナンデ?)





2015年9月18日金曜日

三菱鉛筆は三菱グループ企業じゃありません、という話

安保関連法案が大詰めの昨今ですが、正直なところ面倒くさいこの界隈に関わるのイヤで避けてたんですが、あまりにお約束過ぎる伝統芸能が炸裂していたので、反応せざるを得ませんでした。発端は以下の国会前デモでの様子のツイートです。

昨日、西谷修教授は「(防衛産業を抱える)三菱のものは明日から鉛筆一本買わないことが大事!」と演説した。徹底した不買運動や落選運動など、これからの日常の運動こそが肝心。RT @oyabakacat: @iwakamiyasumi
もうタリーズには、いかない。飲まない。


西谷教授が言うように、三菱グループが防衛産業の一角を占めるのは事実で、それを根拠として「三菱から鉛筆も買わない!」とは、割と昔の反戦運動で見られてきた現象でした。鉛筆がターゲットにされたのも、企業向けあるいは公的機関向け事業が強い三菱グループの中で、いちばん消費者向けで馴染み深いのが鉛筆を製造販売する三菱鉛筆だったからかもしれません。

ところが、これ明白な間違いで、三菱鉛筆は三菱グループ及び旧三菱財閥とは無関係の企業です。

先のツイートは削除されており、西谷教授のアクションはこれを書いている時点では不明ですが、良い機会でもありますので、三菱鉛筆は三菱グループ企業という誰もが思っていたであろう誤解について書いてみました。

まず、資本関係について見てみましょう。三菱鉛筆の大株主に三菱グループ企業が名を連ねていれば、三菱グループの関係企業と言えるでしょう。三菱鉛筆は公開会社なので、有価証券報告書見れば資本関係はすぐ分かります。

三菱鉛筆株式会社の大株主(有価証券報告書より)

三菱系は末席に旧三菱財閥と旧安田財閥の流れを汲む明治安田生命保険相互会社があるだけです。どちらかと言うと、三井住友系が目立ちます。このように資本関係から三菱鉛筆は三菱グループとは関係無いと言えるのは確かなようですが、三井グループのように資本関係が薄くても歴史的、あるいは人的な繋がりを持つ企業グループもあります。三菱鉛筆もそのような繋がりがあるか、歴史的経緯を見てみましょう。

三菱鉛筆の創業は1887年(明治20年)で、佐賀出身の眞崎仁六により「眞崎鉛筆製造所」としてスタートしました。この時点で、当時の岩崎弥太郎率いる三菱財閥とは無関係のようです。そして、1925年(大正14年)に同業の大和鉛筆と合併して「眞崎大和鉛筆株式会社」に改称、続いて1952年(昭和27年)に現在の三菱鉛筆株式会社の社名となります。この間、三菱グループが取り立てて関係した事柄は見られません。

このような社名の歴史を辿った三菱鉛筆ですが、三菱グループと無関係なら、なんで社名に三菱を冠し、マークも同じなのでしょうか? 三菱鉛筆の公式サイトでは「商標とブランド」というコーナーを設け、その説明をしています。

数々の失敗を重ね、試行錯誤を繰り返しながら、明治34年(1901年)に、「逓信省(現:総務省)御用品」として採用されたのが『局用鉛筆』です。このときの感動を後世にまで残したいと考えた眞崎仁六は、記念の商標を登録するという考えに辿り着きました。

『局用鉛筆』には一号、二号、三号という3種類の硬度(芯の濃さ)があったこと、また、これに合わせて眞崎家の家紋である「三鱗(みつうろこ)」を図案化し、“三菱”というマークを考案しました。'''この“三菱”マークと「三菱」という商標は、明治36年(1903年)に商標登録されました。三菱財閥の商標登録に先立つこと10年になります。


はい、三菱グループよりも先に三菱マークと「三菱」を商標登録していたんですね。社名になったのはだいぶ後になってのことでしたが、鉛筆のブランドとして長らく「三菱」の商標とマークを使っており、1952年の社名変更も社名と商品名を一致させることが目的のブランド戦略でした。

三菱鉛筆と同じように同一意匠で先を越していたものに、熊本の乳製品メーカーの弘乳舎が販売する「三菱サイダー」があります。こちらは公式サイト上に「※ 『三菱』の商標とスリーダイヤモンドのロゴは大正8年に商標登録されたものです。大企業グループの三菱グループ各社とは関係無い製品です。」と三菱グループと無関係だと書いています。

というわけで、三菱鉛筆は三菱グループと無関係の企業だという事がお分かり頂けたと思います。件のツイートも指摘を受けて削除されていますが、このように三菱グループ製品として鉛筆を挙げて不買運動を呼びかけるのは、虚偽の風説を流布して業務妨害を行う偽計業務妨害罪に相当する危ない勘違いです。幸いなことに三菱鉛筆はとても寛容な会社のようで、過去限りなく行われてきたこのような理不尽な不買運動に対しても告発はしていないようです。不買運動がまるで会社にダメージを与えなかったから、という可能性もありますが……。

※記事初出時、三菱鉛筆の大株主に「ひとつも三菱グループない」としましたが、大株主末席の明治安田生命保険相互会社は、三菱財閥の流れを汲む明治生命保険と、安田財閥の流れを汲む芙蓉グループの安田生命保険が合併したもので、半分三菱グループでした。当該箇所を訂正の上、お詫び致します。

【関連】



2015年9月14日月曜日

ゼロ戦と同じ素材? 新型iPhoneのボディ

iPhoneの新モデルが発表されましたね。軽くパネルを押し込むことで別の操作が出来る3Dタッチなどの新機軸が話題ですが、これまでiPhoneの"s"が付くモデルでは、筐体はほとんど前モデルと同じものなのが通例でした。今回の新モデルもiPhone6/6Plusと外見上の違いは無いように見えますが、ボディの素材を7000系アルミ合金に変更したことが明らかにされています。

7000系アルミ合金に触れる前に、1年前のiPhone6発売当時を思い出してみましょう。6、6Plus共に前モデルの5Sよりも大型化されながら、5Sよりも薄いということがウリでした。ところが、この大きさと薄さとが祟ったのか、iPhoneをポケットに入れたらボディが曲がったとする騒動になり、実際に曲がったiPhone写真がネットに多く出回った事は、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。この騒動は実際より大げさに伝えられていたと見られており、アメリカの著名な消費者団体であるコンシューマ・リポーツは商品テストの結果、「iPhone6/Plusは信じられているほど曲がりやすくはない」という結論を出していますが、このテストではiPhone6はiPhone5の約6割の力で曲がる事が示されており、 言われているほどではないにしろ、従来より曲がりやすいのは事実なようです。

さて、今回発表されたiPhone6s/Plusでは、前モデルより厚さが0.2mm増しているものの、ほぼ同じ形状を保っております。この僅かな厚み増大に加え、ボディの材質を従来の6000系アルミ合金からアルミ合金中最高の強度を持つ7000系アルミ合金に変更することで、強度は前モデルより飛躍的に増大しているとされます。

純粋なアルミニウムは強度に劣るため、私達が普段触れるアルミ製品はアルミニウムに各種金属を添加することで、強度を高めたものが大半です。従来のiPhoneで使われていた6000系アルミ合金は、アルミニウムにマグネシウム、ケイ素を添加したもので、耐蝕性に優れていて、様々な工業製品に使われているポピュラーなアルミ合金です。一方、iPhone6s/Plusに使われた7000系アルミ合金は、亜鉛とマグネシウムを添加したもので、アルミ合金の中で最も強度の高いグループです。中でも、亜鉛とマグネシウムに加え、銅を添加したA7075アルミ合金は"超々ジュラルミン"とも呼ばれ、最高の強度を誇るアルミ合金のひとつで、第二次大戦中の日本海軍の主力戦闘機だったゼロ戦(零式艦上戦闘機)を始めとした、航空機にも使われていた素材です。

米スミソニアン博物館所蔵の零戦(筆者撮影)
このように零戦にも使われた高い強度を誇る7000系アルミ合金ですが、工業製品用としては一般的な素材ではありません。というのは、高い強度と引き換えに、耐蝕性に劣るという問題があり、長期に渡って使用する事を前提とした工業製品で使われる事はあまりありません。実際、大戦中に作られた零戦も金属製でありながらも腐食が問題になっていて、数少ない現存機の保存の障害にもなっているそうです。

墜落から回収された零戦。腐食が分かる(英帝国戦争博物館にて撮影)
このように腐食に弱いという問題がある7000系アルミ合金ですが、頻繁に人体と接触するiPhoneに使って問題ないのでしょうか? 実はiPhone6s/Plusよりも前に出た、AppleWatchでも7000系アルミ合金は使われています。AppleWatchの説明では「酸化皮膜処理されたアルミニウム」という文言があり、7000系アルミ合金製ボディの表面に酸化皮膜をコーティングする事で、腐食問題を解決したと見られています。肌と常に接する時計で使われていても、AppleWatchに腐食問題が起きているとは発売から5ヶ月経った現在も聞かれませんので、恐らくは日常的な使用に耐えるレベルの技術が完成しているのではないでしょうか。

また、酸化皮膜の他にも、気になる情報があります。アメリカのUnbox Therapyは、Appleの発表前にiPhone6Sのものとされるボディを入手し、蛍光X線分析装置でその組成を調べています。すると、比較対象のiPhone6がA6063アルミ合金製と判明する一方、iPhone6sとみられるボディの組成は7000系アルミ合金に類するものだが、該当するアルミ合金規格は無かったという結果をYouTubeで公開しています。



とすると、iPhone6s/Plusで採用されたのは、既存のものでない新しい7000系アルミ合金という可能性が出てきます。この未知のアルミ合金が耐蝕性問題を解決するのに役立ったのかもしれませんし、あるいは単なる計測ミスか、入手したボディが偽物だった可能性もあるので、本当のところは発売されてからの検証待ちになるでしょう。

なお、Unbox Therapyによる解析結果では、iPhone6sボディの銅の含有量は僅かでしたので、7000系アルミ合金であっても超々ジュラルミンではないようです。iPhone6sはゼロ戦のそれに近い素材を使っている、くらいが妥当なところでしょうか。いずれにせよ、発売が楽しみです。


【関連】

「風立ちぬ」登場人物と鳥人間コンテスト。本庄季郎の戦後

「風立ちぬ」公開に合わせて書いた過去記事ですが、零戦に使われた超々ジュラルミンが戦後どうなったのか、という話になっております。戦前、戦中の日本の国産アルミの最大の用途は軍需で、1944年には過去最高の生産量を記録しますが、終戦と武装解除と共に需要は消えてなくなり、大量の超々ジュラルミンの在庫が残りました。それに目をつけたのが、零戦設計者堀越二郎の同僚の本庄季郎で、超々ジュラルミンで自転車を作って売り始めて……という経緯の話です。興味があれば御覧ください。

清水 政彦 (著), 渡邉 吉之 (著) 「零戦神話の虚像と真実 零戦は本当に無敵だったのか」

堀越二郎「零戦 その誕生と栄光の記録 (講談社文庫)」

一方は零戦についての新しい見識、そして設計者自身による記述の比較は、零戦を振り返る上で面白いと思うので、自分もこれから挑みます(積んどく中……)。




2015年9月11日金曜日

国土地理院がドローン撮影した鬼怒川決壊地点の衝撃

台風18号による大雨により、鬼怒川の堤防が決壊し、大きな被害が出ている事はご存知と思います。TV局も救助の様子を中心とした映像を流し ていますが、国土地理院は被害状況をドローン撮影し、ネットで公開しています。有人ヘリと比べて低い高度で川の上から撮影した映像など、テレビ局のそれと は違った視点からの映像が衝撃的です。









上記の動画は国土地理院がネットで公開したものが、2つで1GBを超える大容量になっていたため、多くの方に見れるよう国土地理院の規約に則ってYouTube、ニコニコ動画に転載したものです。鮮明かつ安定した動画で、被災の現場を伝えています。

ドローンの個人利用について法規制が進んでいますが、このような動画からは災害時の被害把握についても有用である事が伺えます。ドローンのマイナス面が目立つ事件が多かっただけに、このような非常時における役割について改めて注目されも良いのではないでしょうか。

映像出典:国土地理院サイト「台風18号による大雨等に係る情報」より

2015年9月2日水曜日

東京都の防災ブック「東京防災」をWeb・スマホ用に最適化して再配布してみた(※ファイル差し替えあり)

東京都が作成した防災パンフレット、「東京防災」がその実用性から話題です。

「内容がガチ」「役に立つ」――東京都が配布する防災ブック「東京防災」が都民ならずとも見るべきと話題に (ねとらぼ) - Yahoo!ニュース

ただ、役所のネット配布物にありがちなんですが、PDFが章ごとにバラバラ配布で、一括ファイルが現時点で用意されていないようなんですね(原PDFは下記リンク)。それぞれ見たいものにアクセスしなきゃいけないので面倒です。ダウンロードするならなおさら。

防災の知識・情報|東京都防災ホームページ

しかも、Web表示用に最適化されていないことや、見開きページでページが設定されているので、スマホだと縦で見るのがキッツいです。 しかも現在、 アクセス集中で繋がりにくい。サイズも結構あるしね。

なので、単一のPDFファイルにまとめた上、Web表示に最適化させ、全てのページをB6縦サイズに統一し、重複するページを排除してパンフレットとPDFのページ番号を一致させたものを自分用に作成しましたが、需要ありそうなのでGoogle Driveで公開することにしました(下記リンク)。

防災ブック「東京防災」Web最適化私家版.pdf 
(※注:この記事初出時のリンクで配布したPDFを確認したところ、Web最適化されていませんでした(;´∀`)。最適化を確認し、ページの縁が白かったのを目立たなくしたものに差し替えましたので再DLをお願いします。先に配布したものでも表示に問題なければそのままで結構です)

原本は70MB以上ありますが、表示に問題無いクオリティで18MBまでファイルサイズを圧縮しています。

広く配布することを目的に国・地方自治体が制作したものですので、著作権法における「国等の著作物の転載(第32条第2項)」に該当すると思われるので、最適化した上での配布は問題ないだろうなあと判断。ただし、「東京防災」に付属する形の漫画は載せていません。

最近は 役所もサイトにPDFを載せるようになっていますが、PDFが章毎に分割されたものしか置いていない、印刷重視のせいかWeb表示に最適化されていない、コピーが出来ないよう権限ロックしてある、文書構造が破綻している、表示を隠そうとマスクした箇所が全然マスクされてない等、様々なクソPDFファイルが溢れております。

オープンデータなんちゃらも言われているのですから、役所もWeb公開するものを気にかけて欲しいところ……