2013年10月29日火曜日

防衛技術シンポジウム2013 全天候対応駆動システムの研究

この研究は、ヘリ全般への汎用性に優れた研究で、中々期待できるのではないかと感じました。
ちなみに、「全天候」と言いますが、対応しているのは強風だけで(もっとも悪天候は風強いですが)、「全天候」が付いたのは予算獲得上の措置だそうですw


発表要旨(PDF):全天候対応駆動システムの研究



ヘリの主要駆動系統(MDC)の研究

MDC概要
・エンジンの動力をロータ、補機に分配する
・単なるギアボックスだけではなく、ロータと胴体をつなぎ飛行荷重を支える役割を持つ
・ブレードの3軸運動により、操縦を実現
・運用自重の10%以上を占める


施策


揺動制御システム
・ロータ面傾斜を光学センサで計測し、制御することで高い安定性と操縦応答性を両立。
・従来:ローター面が変化→胴体運動のフィードバック
・揺動制御:ローター面が変化→ローター面のフィードバックによる迅速な振動制御(胴体運動分のロスが無い)

最適ロータ・ハブ
・複合材製ロータ・ハブにより、軽量化、長寿命化及びヒンジオフセットの最適化を図る。

スプリット・トルク型トランスミッション
・ギアの薄型化等によりトランスミッションの軽量化、薄型化及び部品点数の削減を図る。

内蔵型コントロール・システム
・コントロール・ロッドを大口径マスト内部に配置することでコンパクト化及び空気抵抗低減を図る。

複合材製大口径マスト
・大口径中空のマストにより、コントロール・ロッドを内蔵するとともにロータ・ハブに効率的な動力伝達を図る

以上の5施策ですが、発表の時間のかなりが揺動制御と最適ロータ・ハブに割かれていたと思います。
最適ロータハブ以降の説明部分は、要旨からのコピペです……。
ちょっと、自分には説明できるだけのヘリ構造知識に自信がないです。


この研究により、OH-1への適用を想定した場合、ローター位置が10%下がり、空気抵抗の減少につながったとの事です。
なお、別に現実のOH-1にこの技術を適用する、という話はありません。念のため。




揺動制御については、シミュレーターを陸自パイロットに操縦してもらい、15ktの風が吹く中でのホバリングを行ったところ(映像上映)、
従来型は大きく揺れていたのに対し、揺動制御システム搭載型は「あまり風が吹いていないようだ」とパイロットがコメントするほど安定していたそうです。
また、操縦応答性も向上し、レスポンス良くコースを飛行するなど(シミュレータ上ですが)のデモを見せています。

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