2013年4月15日月曜日

自衛隊を告発した「自衛隊をウォッチする市民の会」をウォッチしてみた

先週、軍事趣味者界隈で話題になったことですが、「自衛隊をウォッチする市民の会」を名乗る団体が、自衛隊の催しで銃器を市民に触れさせるのは銃刀法違反だと主張し、防衛大臣と自衛隊幹部を検察庁に告発した話がありました。

  東京都内の陸上自衛隊練馬駐屯地で昨年四月にあった駐屯地記念行事で、自衛官が市民に銃を扱わせた行為が銃刀法違反にあたるとして、都内の市民団体「自 衛隊をウォッチする市民の会」(代表、種田和敏弁護士)が十日、当時の田中直紀防衛相と陸自幹部ら四人を東京地検に刑事告発する。同様の行為は、各地にあ る自衛隊駐屯地や駐屯地外のイベントで行われているが、違法性が問われるのは初めてで、自衛隊内に戸惑いが広がっている。(東京新聞)

 「うわー、この手で来たか―」というのが正直な感想なんですが、自衛隊イベントにしょっちゅう参加する身としては、この手の自衛隊側を萎縮させる要素は大変よろしくない。
実際、先週末に行われた自衛隊行事にも既に影響が出ています。私も行った技術研究本部陸上装備研究所の一般公開では、地雷探知装置を来場者に操作してもらう出し物が、告発を受けて隊員による実演に変更。また、滝ヶ原駐屯地などでも銃に触れることは出来なくなるなど、告発の行方次第では、今後も自衛隊イベントに影響を及ぼしそうです。



そもそも、どこに告発の要素があったのか?

で、この「自衛隊をウォッチする市民の会」が何を根拠に告発したのか? クッソ怠惰な団体のようで、告発報道から5日経過した4月15日現在でも、団体公式サイトには声明文の一つも載っておりません。しょうがないので、赤旗の報道内容を頼りに根拠を集約してみると、下記の2点にまとめられると思います。

  1. 「市民が銃を自由にできる状態」にすることの銃刀法違反
  2.  子どもを武器や軍事訓練に慣れさせるという行為はジュネーブ条約や子ども権利条約の趣旨に反する

この中で、1の銃刀法違反云々は、微妙な問題も孕んでいるのも事実なのです。鉄砲の所持は公安委員会の許可が必要となるわけですが、法律上の鉄砲の「所持」概念は『物に対する事実上の支配。保管、携帯、運搬等』とかなり厳しく、他人に預けたり、家族に持ち運びさせただけでも違法に問われます。
「自衛隊をウォッチする市民の会」が告発にあたって用いた証拠写真とやらが、実銃じゃなくてエアガン並べただけに過ぎないという実にアイタタな話もありますが、現実に実銃を触れさせる事は多くの駐屯地で行われているので、告発そのものの意味はまだ生きているでしょう。
しかし、現実には自衛隊イベントにおいて、実銃は下の写真のようにスチールケーブルで固定されている状態で展示されます。この状態では「物に対する事実上の支配」は認められず、違法性はかなり低くなります。


自衛隊の装備展示 ケーブルで固定されている


ウォッチする会の記者会見での写真。展示品はエアガンなので固定されていない(NHKニュースより)

「ウォッチする会」が悪質なのは、恐らく展示品がエアガンだと分かっていながら、敢えて固定されていない銃が展示されているかのイメージを植え付けようとしている点です。

 続いて2の点。これも実に嫌らしい。主張は『子どもを武器や軍事訓練に慣れさせるという行為はジュネーブ条約や子ども権利条約の趣旨に反する』としていますが、具体的に条約の何条に違反していると言わず、「趣旨に反する」としている点が、実に弁護士らしい嫌らしさを醸しだしております。
この中でジュネーブ条約の趣旨に反する、という件は軍人と文民の区別の点でケチつけたいんでしょうが、じゃあジュネーブ条約を批准している他の国ではどうでしょうか。少なくとも私は、米軍とオーストラリア軍の銃器を弄らせてもらった経験があります。軍が後方の一環として展示する銃に、市民が触れることでジュネーブ条約違反になるんなら、これどうなんでしょうね。

米軍基地内で触った銃(これは訓練用だけど基本実銃です)

 子どもの権利条約云々に関しては言いがかりもいいところで、「キッザニアが児童労働推進施設!」と告発するようなもんです。アホらし。



そもそも、「ウォッチする会」って何なのさ?

じゃあ、この告発を行った「自衛隊をウォッチする市民の会」ってどんな団体なんでしょ? 平和団体ウォッチをちょこちょこ続けていた自分も初耳の団体でしたので、やる気の無い公式サイトで確認すると、2012年の10月に誕生したばかりの団体で、代表の種田和敏弁護士も2011年に弁護士登録したばかりのルーキー。じゃあ、新しい団体? かと思いきや、そうはいかない。その手慣れた自衛隊攻撃手法は、脈々と受け継がれてきたものです。
代表の種田弁護士ですが、氏の所属する城北法律事務所のメンバーや訴訟案件確認すると、労働・平和・社会問題系が多く、かなりイデオロギッシュなものを感じさせる事務所です。で、ここの先輩弁護士がツイッターで宣伝を行なっております。


で、この田村弁護士に会見時の写真(並ぶエアガン写真)の誤りについて問い合わせている人がいます。4月15日20時時点で返答はありませんが、ツイートは続けています。どうやら写真のことは黙殺のようです。

話を「ウォッチする会」と種田弁護士に戻しましょう。「ウォッチする会」のドメインである"competo.vis.ne.jp"は見慣れないものですが、このドメインを使っているサイトがもう一つあります。日本平和委員会の地域組織、東京平和委員会です。種田弁護士は東京平和委員会にも籍を置いており、事実上「ウォッチする会」は東京平和委員会の関連団体のようです。
また、今回の告発について、一番詳細に記述しているのが、他でもないしんぶん赤旗であり、告発に先立つ4月8日にも子ども 兵士体験 陸自武器展示 市民グループが懸念」と仕込み記事を書いています。
今回の告発においては、その当初から東京平和委員会、日本平和委員会、そして日本共産党の影がチラついています。



とっても愉快な日本平和委員会

じゃあ、日本平和委員会ってなんでしょうね。公式サイトを見ますと、1949年に誕生した平和団体とのことですが、ぶっちゃけ日本共産党の関連組織です。過去、この団体は色々と愉快なことをしております。1958年10月23日の読売新聞を見てみましょう。


読売新聞 1958年10月23日夕刊

あら奥様。警察の手入れを受けてますわよ! しかも闇ドル事件ですって!
はい、日本平和委員会と中原淳吉常任理事は、1958年に日本に闇ドルを流通させた容疑で警察にパクられており、このドルの出所はソ連による対日工作資金でした。この頃、ソ連から日本共産党への直接の資金の流れの監視が厳しくなっており、日本平和委員会や原水協などの共産党系平和団体を通じて工作資金が流れるようになっておりました。1957年だけでソ連・中国・北朝鮮から3億円(現在の貨幣価値で15億円以上)もの工作資金が、これらの団体を通じて日本共産党などに流れていました。

この中原理事、公判を前にした1959年8月3日に失踪してしまいます。公判から逃げるためとも、日本共産党で多額の資金を扱っていた中原理事がヤバイ問題を起こしたなどとも言われていますが、詳細は不明です。
同月19日には服毒自殺未遂を起こした所を発見されて保護されるのですが、情けないことに発見されても自分は中原でないと通し続け、記者団にも無言とステキ過ぎます。



由緒正しく古臭い日本の平和団体「自衛隊をウォッチする市民の会」とこれから

話を「自衛隊をウォッチする会」に戻そう。
ウォッチする会も元を辿れば手垢にまみれた古臭い日本共産党系の平和団体でした。東京平和委員会のあるオフィスを間借りしているようですが、ここはレンタルオフィスで1人用の椅子と机しか置いていない、事実上の名義貸しオフィスです。六本木ヒルズとかに置かれている同様のオフィスが怪しい企業の巣窟になっていることは知られていますが、こちらも怪しいことこの上ない。

ウォッチする会事務所のあるビル

しかし、なんで今になって、こんな外見だけ新しく取り繕った平和団体が立ち上がったんでしょうか。その契機が、先の震災にあると自分は考えています。震災における自衛隊活動への評価により、国民の自衛隊支持がかつてないほど高まりつつある今、従来の自衛隊の存在そのものを否定するタイプの平和活動はその存続が危ぶまれています。
そんな中、「自衛隊を監視」すると称した団体を立ち上げることで、正面切った自衛隊否定を回避しつつ、反自衛隊活動を行おうとしている、ってところじゃないでしょうか。自衛隊否定がやり難くなった現在、今後もこの手の団体は増えるものと思います。

しかし、「自衛隊をウォッチする市民の会」というネーミング自体が、ものっそい古臭い代々木臭を醸しだしております。 「在日特権を許さない市民の会」が出来てからというもの、「市民の会」という単語の胡散臭さが一気に増したというのに、それにも気づかないで「市民の会」を名乗るセンスの無さが流石としか。

新しい革袋に古い酒を入れても、腐臭は消えないのにね。

以上