2010年1月27日水曜日

XC-2初飛行 成功!



防衛省技術研究本部ニュース 次期輸送機 初飛行に成功


http://www.mod.go.jp/trdi/news/index.html






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 本日、次期輸送機(XC-2)の試作1号機は航空自衛隊岐阜基地より離陸し、1時間のフライトの後、無事帰還致しました!


 兄弟機とも言える次期哨戒機(XP-1)より初飛行で遅れること2年と3ヶ月、ついにXC-2も初飛行に漕ぎ着けました。


 つい先月、ボーイングのB787やエアバスのA400Mも初飛行を行い、これで世界的に難航していた新型機開発に一つの区切りがついたものと思われます。どれも前途多難ですが、無事に成功すると良いですね。


 さて、個人的に一つ気になることがあります。今回、XC-2は飛んだ当日に詳細な映像がアップロードされておりましたが、先月のA400Mの初飛行ではエアバス社の特設ページで生中継が行われていました。





 エアバス社特設ページ


 http://www.airbus.com/en/A400M/





 現在は何もありませんが、初飛行当日は式典の模様やテストパイロットのコメント、スペインのファン・カルロス1世国王陛下の祝辞等が生中継で放映されておりました。A400Mは多国間プロジェクトですから、様々な面でアピールする必要があったとも思うのですが、今回のXC-2も生中継があっても良かったなあとも思うのです。先日の在日米軍の様にニコニコ生放送を使えばコストも低く抑えられると思うのですが……





2010年1月21日木曜日

【臨時】日米共同統合演習「キーンエッジ」 ニコニコ生放送で生中継



 在日米軍と自衛隊の共同指揮所演習が、本日午前10時30分よりニコニコ生放送にて生中継されるとのことです。米陸軍の演習が生放送されるのは世界初の試みとの事で、お時間がある方はご覧になってはいかがでしょうか。





日時:1月22日10時30分開始


URL:http://live.nicovideo.jp/watch/lv9971758





2010年1月13日水曜日

防衛技術シンポジウム2009 「耐弾用金属基複合材(MMC)」



 Youtubeを見ていたところ、年末のテレビ番組と見られる映像がアップされていました。






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 防衛大学校で衝撃破壊関連の研究をされている大野友則教授の研究内容の紹介映像ですが、下の方の2/2の映像の中に64式小銃を用いた実験が出てきます。強化繊維とセラミックスの2重構造の防弾チョッキに向けて64式小銃で射撃し、受け止めるといった映像なのですが、セラミックが鉛色でアルミナっぽくない。どっかで見たことあるなーと思っていたら、思い出しました。





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 防衛技術シンポジウム2009で展示されていた「耐弾用金属基複合材(MMC)」と色が良く似ており、映像では素材の名前こそ出ていないものの研究中の材料であることが明らかになっていることや、MMCの耐弾試験も大野教授が行っているため、映像の素材もMMCの物に近いと思われます。


 耐弾用金属基複合材(MMC)とは、金属材をベースとしてセラミックスを加えて強化した複合材のことです。(イタリック部・2010年1月17日文面訂正) この研究は日本セラテック社による展示で、同社の製品であるPSS-50を利用した防弾素材が展示されていました。なお、PSS-50はシリコンとセラミックス(炭化ケイ素)の複合材になります。





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 このPSS-50の特徴としては以下が挙げられます。


 ・従来のアルミナ等のセラミックスやPSI(アルミ+セラミックスのMMC)と比べて重量あたりの耐弾性能に優れている。


 ・従来のセラミックスは曲面の加工が難しく高コストになったが、PSS-50は鋳型で立体成型が可能。


 ・立体成型が可能であるので、試験体は陸自隊員の平均値から割り出された形状となっている。


 など、性能面や加工面、人間工学的にも有利な特徴を備えております。実際に6ミリ厚のPSS-50と10ミリ厚のスペクトラ繊維を組み合わせた試験体に対し、89式小銃による5.56mm弾を5発連射で撃ち込み、全て未貫通の成果を残しており、連射に弱いセラミックスとしては上々と言えると思います。


 PSS-50はアルミナより3割ほど軽く、会場では写真のように同体積のブロックが置いてあったので実際に持ったところアルミナよりずっと軽い印象でした。実験で用いた6ミリ厚のPSS-50試験体も持ち上げたところ、以外な軽さで驚きました。もっとも、スペクトラ繊維無しなので軽いのは当たり前なのかもしれませんが……





 Youtubeの映像に出てきた耐弾素材がPSS-50だという確証はありませんが、防弾チョッキに使われる素材の軽量化は各国でも重要な課題とされており、多くの素材が日本でも研究対象となっていることが伺えます。この分野での研究がより一層進むことで隊員の生存性向上に寄与することを願っております。





<参考>


日本セラテック社 http://www.ceratech.co.jp/product/pdf/03/pss_psh.pdf


防衛省技術研究本部 「耐弾用金属基複合材(MMC)」





2010年1月12日火曜日

「幻のてき弾銃」の更に幻



 一昨年の7月にアップしました「幻のてき弾銃」にて、自衛隊で開発試作が行われたものの装備化に至らなかった国産てき弾銃について取り上げました。試作品試験の映像と限られた資料の中、開発の経緯や顛末について推測を交えつつ取り上げてみましたが、依然として判明しないことが多く、執筆後も調査を継続して行っておりました。調査の結果、いくつかの新資料を得ることができましたので、新年第一弾の記事は「幻のてき弾銃」の続報をお届けしたく思います。






D【一昨年アップのてき弾銃試験映像】





■2つのてき弾銃 ~ダイキン工業と日産自動車~




 「幻のてき弾銃」にて、以下の開発経緯を示しました。


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 上図の様にてき弾銃の開発は昭和47年度より始まったとされております。しかしながら「ダイキン工業70年史」によると、てき弾銃の弾薬の開発を担当していたダイキン工業がてき弾銃の開発を辞退したのは昭和46年とされており、開発が始まる前に辞退していたことになります。このことから、このてき弾銃は「幻のてき弾銃」で取り上げた日産自動車(現・IHIエアロスペース)が弾薬開発に携わったてき弾銃(以降、日産型)の前に研究されていた、ダイキンが携わった試作品(以降、ダイキン型)と推測されます。


f:id:dragoner:20081115123539j:image日産型てき弾銃【陸上自衛隊武器学校武器資料館にて撮影】





■ダイキン型てき弾銃とその開発・試験




 ダイキン型は昭和44年度に第一次試作、昭和45年度に第二次試作が行われ、それぞれ2丁ずつ、計4丁の試作品が完成しています。


 日産型と違う点として、対人用弾薬が40mmと小型であり、対戦車用は66mmと日産型と同一ですが銃身兼用コンテナに収容されており、銃身部ごと銃に挿入し撃つことを想定していたと推測されます。


 昭和45年度から46年度にかけて、下北試験場、富士演習場などで実射試験が行われました。その試験結果及び要求について、図表化致しましたので御覧下さい。





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 以上のように、要求性能に対し試験結果は大幅に未達の状況です。


 特に対戦車用弾薬の問題は深刻で、試験の途中で銃が破損し有効射程試験は未実施となってしまう有様です。また、精度試験の結果も酷いもので、射距離200mにおいて半数必中界(CEP)が方向上780cm、高低上400cmとなっております。この数字が意味することは、200m先の静止したT-55戦車(車体長6.45m、全高2.35m)を射撃したとしても、射撃数の半分の命中も期待出来ないということになります。これが走行時でしたら、命中することはまず不可能でしょう。


 深刻な問題は更に続きます。銃が破損し対戦車用の有効射程は未実施となりましたが、その破損を招いた理由が深刻な故障率の高さに有ります。





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 対人用の故障率が60%を超えていますが、これは抽筒不良ですので連続射撃に問題が出る程度で問題としては重大ではありません(もっとも、60%はいくらなんでも高すぎですが)。問題は対戦車用で、30%の射撃が銃本体に破損を引き起こし、うち約7割(全体射撃数の約2割)が射手が負傷する可能性がある故障となります。これでは、制式化はまず無理でしょう。


幻のてき弾銃」において、日産型が不採用となった理由は対戦車用弾薬が問題ではないかと推測いたしましたが、ダイキン型においては明白に対戦車用弾薬が深刻な問題になっていることが裏付けられました。


 


■そもそもの疑問




 さて、何故こんな惨憺たる結果にも関わらず、開発は日産型へと引き継がれて同種の問題が発生した結果、再び不採用となったのでしょうか。この当時の陸上自衛隊の装備は朝鮮戦争時の米軍より少し進化した程度の物で、特に対戦車戦力はかなり貧弱な物でした。ソ連の優勢な戦車戦力に対し、国内で供給可能な対人・対戦車兼用の装備を必要としていた為と思われます。また、試験結果そのものは惨憺たるものでも、てき弾銃の最大の特徴である後方無爆風能力は非常に高く評価されており、壕内からの隠蔽射撃という隊員の生存性を向上させる運用に非常に期待が寄せられておりました。2001年になって制式かされた01式軽対戦車誘導弾が壕内からの射撃が可能であることを見ると、壕内からの射撃可能な対戦車火器のニーズが極めて高かったことも伺われます。


 このような理由の他に、てき弾銃迷走の最大の原因となった開発フローの問題があると考えられます(詳細は「幻のてき弾銃」参照)。そして、あまりに実用からかけ離れた問題が発生したダイキン型こそが「幻のてき弾銃」でさむざむ。氏より指摘を受けた「基礎的研究の中で完成品に近い状態の試作」品だったのではないかと推測致します。


 今後も本ブログでは、自衛隊における装備開発の失敗例として、プロジェクトに対する示唆に富むてき弾銃の調査を継続していきたいと思います。





<参考文献>


弾道学研究会 編「火器弾薬技術ハンドブック」防衛技術協会


ダイキン工業株式会社社史編集委員会「ダイキン工業70年史」ダイキン工業


 





2010年1月11日月曜日

2010年 第一空挺団降下訓練始め



 本日、昨年に続き2010年第一空挺団降下訓練始めに行ってまいりましたが、映像の編集その他が追いついていないので、取り急ぎ、単品映像として、北澤防衛大臣の訓示映像をアップ。






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 1080iのフルHDで上げてみましたけど、22時現在、youtube側の処理が完了していないようでフルHDではまだ見れない模様。まあ、そんなに画質に拘る様な映像じゃないんですけどもね。


 現在、動画レポについては編集中です。明日アップ予定。


 取り急ぎ、ここまで。





2010年1月8日金曜日

2010年 新年のご挨拶



 もう新年を迎え、1週間が過ぎてしまいましたが、当ブログをご覧の皆様へ新年のご挨拶申し上げます。


 明けましておめでとうざいます。


 


 昨年は生来の怠け癖でずるずると未更新が続き、月一更新がやっとというレベルまで悪化したり、怒りに任せて仕分け当日にアップした「事業仕分け人 金田康正 東大大学院教授のトンデモ認識」が全記事中最も反響が大きかったりと、自分の思惑とは色々違う方向になってしまいましたが、アクセス数も20万を突破するなど順調に成長を続けているのは閲覧頂いている皆様のおかげであります。謹んで御礼申し上げます。








■なぜこのブログはいつもダラダラしているのか




 さて、本年こそ怠け癖を乗り越え、順調なブログ運営を行う為に何が重要かと悩んでいたところ、独立行政法人産業技術総合研究所の松尾豊氏の論文「なぜ私たちはいつも締め切りに追われるのか」にこのような一節がありました。






 集中力は多くの場合、時間の制約がなければ上げにくいものであって、締め切りはそれに寄与しているから、我々はいわば締め切りのおかげでパフォーマンスを出せるわけである。






 なんだ、締め切りが無いからダラダラしていたのか! と、至極当たり前な結論に至りました。と言うわけで、現在作業中・構想中の原稿・動画の締め切りを提示したいと思います。遅れそうだと思ったら、そっと圧力かけて下さい。








■今後の予定一覧




 2010年1月11日締切 「幻のてき弾銃」の更に幻


 2010年1月31日締切 「戦争以外の軍事作戦(MOOTW)」について(仮)


 2010年1月31日締切 仕分け人のトンデモ認識 その2(仮)


 2010年2月15日締切 戦争は禁じられているのか? ~ 禁忌「禁じられた戦争」 ~ 「リアリズムと防衛を学ぶ」へのTB。


 2010年2月中締切  動画「ゆっくりで学ぶ軍事 軽装甲機動車」


 2010年3月中締切  猿には分からないNCW(仮)


 以上を予定しております。イベントのレポ等は含んでおりません。








 さあ、ブログでもネルー値(上記論文参照)をカウントする日々が始まる……